所長挨拶
温故知新
今年、水内荘は設立61年を迎えました。
去る7月8日(土)長野県障がい者福祉センター サンアップルにおいて、『水内荘の歴史
を知る学習会』を開催しました。(その様子は水内荘のホームページの『新着情報』のペー
ジをご覧ください)私たちとしても、そのような学習会は初めての試みでした。事前準
備として、過去の写真やビデオ映像・文書など数多くの資料を調べる過程で驚くような発
見がありました。
『巣立つ日を夢見て』という昭和41年水内荘自主制作の約25分間の記録映画を、膨大
な本数のVHSテープ(ビデオテープ)の中から見つけました。同映画について、ほとんど
の職員はその存在を知りませんでした。
その記録映画には、当時の水内荘利用者の生活や所内の作業、就労先の会社や工場での
作業や職員が就労先を巡回・訪問する様子等が記録されています。当時は、水内荘から町
内の会社に通勤していた利用者が大勢いました。また、就職が決まり水内荘を退所してい
った利用者も数多くいたのです。職員は定期的に会社訪問を行い、働き続けるための支援
等を行っていました。トラブル発生の連絡を受けて職員が会社に急行する場面の映像もあ
りました。現在『ジョブコーチ支援』や『就労定着支援』と呼ばれている支援です。その
ような支援を60年前から行っていたことにとても驚きました。
約60年後の令和の時代、水内荘には地元農家の手伝いをしたり、会社に通勤している
利用者はいません。それは、利用者の『高齢化・重度化』という課題だけではありません。
時代によって入所施設に求めるニーズが徐々に変化してきたからです。
入所施設の役割や利用者支援の内容は、時代にあわせて変わっていくものもあれば、変わ
ってはならないものもあります。
ノイズだらけの古い記録映画は、そのことを60年後の私たちに語りかけている気がし
ます。
水内荘 所長 北嶋 昭